熊本の渋滞の原因について考える(その1)

  • 2024年11月16日
  • 2024年11月18日
  • 雑件

今回はちょっと社会派ネタ。

熊本の交通渋滞、年々ひどくなっているような気がしませんか?
特に朝夕のラッシュアワーはもちろん、平日週末を問わず日中でもあちらこちらで渋滞が発生しています。

私は普段バイクでの移動が多いのですが、すり抜けせず車に囲まれてに停まっていると、夏などは熱で倒れそうになります。殺人的なレベルといっていいでしょう。

実際にデータを見ても、平均速度が政令市で最下位、最悪の状況です。

体感的には以前はここまでなかったと思うのですが、この10年くらい、つまり熊本市が政令市になってからというもの、年々悪化の一途を辿っている気がします。以前はここまでなかったような…。あくまで体感ですけどね。

そこで、熊本の自動車台数の変化を見てみるとこんな感じ。

確かに自動車台数は増えてますね。

平成20年は92万台だったのが令和3年は103万台、11万台の増加。率にして約18%の増加となっています。
1世帯当たりの保有台数は平成29年をピークに減少傾向ですが、これは1世帯あたりの人数減少によるものと思われるので、あまり意味はないでしょう。

ざっくりですが、熊本県の人口が約170万人。自動車1台あたりの人口を計算すると、約0.6で全国27位。
あれ、実はそんなに高くないですね。
ちなみに熊本県の年少人口(14歳以下)が約20万人、生産年齢人口(15〜65歳)95万人、老齢人口55万人ですから、全人口の6割、年少人口を除いた15歳以上の人1.45人に1台のクルマを所有している計算です。

自動車保有台数が増えるのは全国的な傾向で、高齢者が増えているためだと思われます。

熊本は全国的に見ても、人口あたりの自動車台数がそこまで多くないにも関わらず、渋滞がひどいという図式が読み取れます。
これはどういうわけか??

その原因は?

私が立てた仮説はこちらです。なんのエビデンスもないので、あくまで仮説ですよ。

下の図面を見てください。

これは熊本市が平成30年に策定した「熊本都市圏総合交通戦略」に掲載されている図です。
2025年までに実施する道路整備計画を図面に落としたもの。

緑や赤の線は中短期的に取り組む路線、青線は長期的に取り組む路線、丸数字は整備箇所を表しています。
見ておわかりと思いますが、ほとんどが中心市街地または熊本市の西部地域に集中しています。

対して東方面はほとんど道路整備されていない状況が見て取れます。

現在渋滞の激化は、熊本市の東北部に隣接する「菊陽町」にTSMCの工場が建設されたこととの関連が指摘されているところです。なのに、熊本市東部方面での道路整備はこの15年以上ほとんどなし。

人口増加が著しいこの地域の道路を放っておいて良い訳はありません!

どうしてこんなことになっているのかというと、熊本市の政令市移行と関連があるとのではないかと考えます。
熊本市が政令市になったのは2012年(平成24年)のこと。12年前のことです。

政令市になるにあたって、人口要件を満たすため近隣の町村と合併を推し進めたのですが、東部に隣接する益城町、菊陽町は合併を拒否。結果、北部に隣接する植木町、南部に隣接する富合町、城南町が熊本市と合併することで人口70万人の要件をクリアしたという経緯があります。

西部、南部、北部の道路整備を重点的に行っているのには、こういう事情もあるんじゃないかと踏んでおりまして、その割りを食って、東部の道路が手薄になっているのではないでしょうか?


熊本市内に限っていえば、1999年の国体開催以降、東部において大きな道路整備が行われた記憶がありません。
一方、西部は西回りバイパスをはじめ、蓮台寺橋、万日山トンネルなどなど、多くのインフラ整備が行われている印象。この差は何なんだ?

もしかしたら、2000年代までの道路整備が東部に偏っていたことの反動かもしれません。

こちらは熊本港線 道幅広い割に通行量は少なめですね。

結果として、東部においては人口増加と併せて、自動車の増加に道路整備が追いつかず、あちらこちらで渋滞が発生。
それにTSMCによる菊陽町、大津町方面への人の流れの変化が追い打ちをかけたという形ではないかと推測します。

要するに、熊本市の道路行政(はっきり言えば何もしてない)が招いた渋滞ではないかと思うのです。

何度も言いますが、あくまで私の独断と偏見による勝手な仮説ですから、関係者の皆さんお気を悪くなさらず。

渋滞の原因編はこの辺にして、次はこの先どうしたらよいか、対策編に続きます。
お楽しみに。

つづく