「その1」では渋滞の原因について考えましたが、続編ではじゃあどうしたらこの状況を変えることができるのか?について考えたいと思います。
そもそも渋滞するのは、道路に出ているクルマの数が多すぎて道路のキャパを超えているから。ならばクルマの数を減らすか、道路キャパを増やすかの2つしか対策はないわけです。
とはいえ、道路キャパを増やすのには大変な時間がかかる。この10年以上道路整備をおざなりにしてたツケが今来ているのですから、これを改善するには10年以上かかると思われます。
長期的には道路整備をする必要がありますが、これまでの経験からすると、道路整備をして一時的に渋滞が改善したとしても、またすぐに渋滞することになります。便利な道路にはクルマが集まってきて、結局渋滞。この繰り返しです。
熊本県のクルマの台数は、今から10年間くらいがピークで、団塊の世代の減少に伴ってクルマも減ってくるものと思われます。おしらく、あと20年もすればかなりスムーズな交通が実現するかも。
といっても、20年間の経済的な損失は莫大なものになるでしょう。
短期的にクルマの数を減らす方法、それは「クルマ以外の交通機関への乗り換え」です。
令和5年度の熊本の自動車分担率は67%、これは年々増えていて、前回平成24年調査では64%でした。
クルマの数を10%減らすことができれば渋滞は解消すると言われています。
しかし、これには難しい問題がついて回ります。自分以外の1割の人がクルマに乗るのをやめて他の交通手段に転換してくれればいいのに、と皆がお互いに思っているわけです。
クルマは絶対的に便利な乗り物で、暑さ寒さ風や雨などの天候に関わらず快適に移動することができます。この便利な乗り物からわざわざ別の不便な乗り物に転換する気にはならないのが正直なところだと思います。
しかも、昨今の気候変動による猛暑やゲリラ豪雨など、自然環境が厳しくなってきた現代において、車以外の乗り物で移動するのは身体的にも精神的にもかなりの負担となっています。これを考えると、渋滞によるストレスを差し引いても、クルマ移動の方がトータルで、快適ということになります。
また、スマホが普及した現代では、渋滞中もスマホ動画などを視聴(音を聞くだけ)することでイライラしたり退屈したりすることは少なくなっており、昔ほど渋滞が苦痛でなくなっているのもあるかもしれません。
県も熊本市も「公共交通を利用しましょう」と呼びかけていますが、一方でバスや電車の減便、料金の値上げ、全国共通ICカード(SUICAなど)の利用廃止はど、サービスレベルは低下の一途です。利用者の利便性が低下する中で、クルマ依存が高まるのは必然と考えられます。
今や飲み屋でさえクルマで行くのが当たり前のものになっており、以前にも増してクルマ依存が高まっていると感じます。
県や熊本市は時差出勤を推奨することで渋滞を緩和しようとしていますが、効果は限定的でしょう。
時差出勤や公共交通利用でクルマが減ったことによって最も恩恵を受けるのは誰でしょう? 答えは最後までクルマに乗り続けた人。他の人がクルマに乗らなくなってくれれば、道路が空いて快適にクルマ移動ができるようになるのですから、お互いに他の人がこれまでの習慣を変えてくれるのを待っている。
では、どうするか。公共交通利用や時差出勤する人にそれなりのインセンティブを与える、またはクルマ移動をする人にペネルティを与える、これしかないと思います。
公共交通の利用に自治体の補助金をもっと入れる(今でもかなり補助されてますが、もっとです)、時差出勤に補助金を出す、ロードプライシング(道路の有料化)を実施する、ナンバープレートの番号で流入規制する…、などなど色々と方法はあるはずです。
住民の自主性にまかせてお願いしていても実効性はあがりません。
都市圏でクルマを使うのは不便だ、そう思ってもらえるような施策を行う、いよいよそういう時期になっているのではないでしょうか?
けど、政治家がそれを言うと選挙で落選するでしょう。 これが民主主義の限界なのか。
環境問題と同じで、どうしようもないですね。